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『この世界の片隅に』~ポケポケが飲み込んでいく戦争~ ※ややネタバレあり

原爆投下を題材にしている作品というと、身構えてしまう自分がおります。なぜってもう、それは小学校時代に「平和学習」なるもので散々見せつけられてきた原爆映画がトラウマになっているからでありまして、もういい年したオッサンになっても、ガンツやシグルイでバンバン人体が飛びってるのを飯食いながら読めても、「原爆モノ」だけは無理なんですね。『はだしのゲン』は幼少時、傍に本があるだけでも総毛立つほどオットロシイものでした。

トラウマのタネ蒔きゃ狙い通りの左傾斜した平和人が育つかというとそういうわけでもなく、今は反動で立派なネトウヨ。そういう人は私含めてかなりいるんじゃないでしょうか。個人差があるとはいえ、日教組とか共産党がやってきたひたすら悲惨さやグロテスクさを見せつける「平和教育」は、子供の心に深い深い傷を残しました。

さて、それはさておき『この世界の片隅に』です。

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呉市はなぜこの企画を公開前にやったのか…。
むしろ今からやるべきでは…。


お話としては単純で、広島から呉(この距離感がまた良いのですが)に嫁いできた女性が戦争の中を逞しく生きていく、という、なんかもう風邪薬の諸注意より短くまとめられそうなもの。描かれてることも戦前、戦中の日常が淡々と続いていく感じです。劇的なことも起こりますが、それもまた戦時下の日常と言ってしまえるかもしれません。

しかしこの物語の要は主人公の「すず」さんの性格設定なんですね。すっごいポケポケしとる。絵が上手くて、ちょっと猫背で、おっとりポケポケ。周辺の人物もどこかおっとりしていて、おっとりしていない憲兵さんみたいな存在は逆に浮いててお笑いネタにされるくらいです。空襲も、原爆も、そして心の底から悲しいことも起こるけど、みんな飲み込まれない。打ちひしがれるけれども、逆に戦争を飲み込んでいく。

考えてみれば戦時中みんな四六時中暗い顔したりいきり立ったりしていたわけではなく、笑顔だってあるし、ポケポケした人がポケポケしながら生きておったわけですよ。ポケポケはポケポケの視点で戦争を体験したわけですよ。

戦争が人生を狂わせるのではなく
人生が戦争を内包している

そういう構造を感じました。これは、戦争ものであんまり見なかった世界観だと思います。戦争というどうしょうもない巨大な波に攫われたり抗ったりするのではなく、悲劇が起きた際「あの時、ああしていたら、どうなっただろう」と主人公が自分の行為のみに思いを巡らせる所なんかが象徴していますね。

「平和=日常 戦争=非日常」ではなく、一人の人生の中に平和も戦争もなんだって入りきるものなんだということを、ポケポケした主人公のすずさんから学んだような気がしました。それは、生きることの自然な肯定であり賛歌であり、我々もまた生きている限りそういう力を持つことが出来るという希望なのかもなと。

「悲惨」でしか戦争を語れない時代はやっと終わって、こんなふうにもっと広く奥深く優しい視点でこの時代に生きた人達を描けるようになったんですな。これは今の時代から生きていく子供たちにとって、とても良いことだと思いますね。

好きなシーンですか?すずさんが楠公のメニュー作ってるところスかね。「いつもマズい飯ばっかり食ってるから銀シャリうめええ」みたいなシーンは当時を題材にした作品にありがちだけど、マズい飯をあんなに楽しそうに作るのはとても斬新だw

あと、アニメは「実写じゃとてもやれないような突飛な演出」をスルッと入り込ませることができるってのがいいですね。もはやアニメは子供向けだけではなく、二次元でしか出来ない表現を追求する創作の場になってるんだなと。この辺りのことは、映画館でも多く見た年配のお客さんが一番感じたことかもしれません。

とにかく、いい映画でした。

大和・武蔵・伊勢(もしくは日向)・利根・青葉・隼鷹・飛鷹・天城なんかも出るよ!提督は特に観とけっ。




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